2/25 メラニーケントは最高のもてなしで私を迎えてくれた

 今から10年ぐらい前のこと、以前勤めていた会社に出勤するとMelanie Taylor Kent Inc.(だったかな?)からFAXが待っていた。
 メラニー・テイラー・ケントはディズニーを描ける公式アーティストとしてその時までに5つのディズニーの作品を発表し、
 国内で独占販売をしていたアールビバンでは新作の『東京ディズニーランド10周年』が95万円で飛ぶ鳥を落とす勢いで売れていたアーティスト。

      ウォルトディズニーワールド15周年(1987年)
      ミッキー生誕60周年(1988年)
      ファンタジーランド(1990年?)
      エレクトリカルパレード(1992年?)
      東京ディズニーランド10周年(1993年)

 まだまだ半人前以下だった私はメラニーケントのマネージャーからきたファックスに喜び、上司に転送してなんとか仕事に結び付けようとした。
 アールビバンのお抱え作家だった彼女から直接ファックスが送られてきた背景には
 ディズニー以外の作品があまり売れていないのと、当時ラッセンが爆発的に売れはじめたのために
 メラニーケントとアールビバンの契約が切れたのだと思った。

 営業のファックスにしろ、せっかく人気作家から連絡が来たのだからと上司と交渉してアメリカにある彼女のオフィスを訪れる許可をもらった。
 今にもまして英語がわからなかった私が通訳なしに単身渡米し、しかもビジネスをしてくるなんて今考えると信じられないことだ。

 ロスには現地在住のエージェント(中南米系のアメリカ人でスペイン語と英語のみ話せる)がいて、
 彼女のオフィスのほか、メシのタネになりそうな訪問先を調べたリストを彼に渡しアポイントをとってもらった。
 翌朝オフィスに向かう車の中、まだ会ったこともない人気アーティストに会うこと、それもビジネスだということで緊張感でいっぱいの私。
 オフィスにつきマネージャーと挨拶しするとマネージャーは席をはずした。
 どうやらメラニーに連絡をとったようで、しばらくするとメラニーがご主人のボブとそろって現れた。

 何をいっているのかわからない日本人を前にしてメラニーはマネージャーに開口一番『で、何枚注文もらったの?』
 これには参った!そこでヘタクソな英語で『“トウキョウディズニーランド10thアニバーサリー”ガホイイデス』と切り返すと
『あれはアーチストプルーフだけ持ってるけどディズニーとの契約で日本には売れませ〜ん』(メラニー)
『じゃあ、買うものありまへんなぁ。』と言うととても高価なエレクトリカルパレードのスペシャルバージョンをメラニーが私に薦めてくる。
『ねえ、いい?ちょっと見てて!』といって額の横にある何かを探して、カチッと音をたてると・・・・
 
   キュ〜〜〜ウィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン、
   ジャンジャジャジャ〜〜〜ンジャンジャンジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャ〜〜〜ン
     チャンチャカ チャンチャ チャンチャンチャン
   チャララ チャララ チャチャチャン・・・・・・・・・
 
 音楽とともに画面の光りが動くんです!
   どうやらシルクスクリーン版画の中に刷られたエレクトリカルパレードの光りの部分に穴があいていて、
 20cmぐらい厚みがある額の中に色がついた透明ディスクと光源、
 そしてエレクトリカルパレードのCDが入ったCDプレーヤーとスピーカーが入っているらしい。
 ディズニーのルミセルのようになっているといえばわかりやすいかも知れません。
『どう?いいでしょ〜〜〜〜。』と自信満々のメラニー。
 たしかにこれは予想していなかったことも手伝って、感激したことを今でも覚えている。
『これ買わない?』と尋ねられた金額にもド肝を抜かれたことも今でも忘れられない。

 結局何も仕入れず、『ああゆう絵やこういう絵を描いたらもっと日本で売れる。』なんて大作家に向かってクソ生意気なことをいったもんだから
 メラニーは『じゃあ、あんたスポンサーになる?』なんて軽くあしらわれちゃいました。
 今考えればそりゃそれでごもっとも。『あんたわざわざ日本から何しに来たの?』ってところでしたね。
 しかし宿泊先までの帰り道、怒り爆発で日本語がわからないエージェントに向かって英語でペラペラ文句を言っていたのは通じていたのかなぁ。。。

 日本に帰り、もともと在庫であったメラニーの“エレクトリカルパレード”を前にCDを大音量で流してみたのは言うまでもありません。
   キュ〜〜〜ウィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン、
   ジャンジャジャジャ〜〜〜ンジャンジャンジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャ〜〜〜ン
   いいじゃな〜〜〜い!絵と音楽と心がつながる絵だと実感。これはこの絵を10倍楽しむ方法かもしれないですね。

 “東京ディズニーランド10周年”を前にしたら音楽は・・・音楽は・・・・
 キャッスルショーの映像は瞼に焼き付いているのですがどうしても音楽が出てこない。困った。
 これはCDを探し出すか、それとも秘蔵の“社内教育用10周年ビデオ”あたりを蔵出しするしかないかな〜〜〜。


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