7/18 セル画の黄金期
先日ニューヨークで買ってきた美女と野獣の幻のセル画“ボールルーム・ダンシング(Ballroom Dancing)”を納品に行ってきた。
お買い求めになる方は取引業者さんのお客様なので直接どんな方なのかは分かりません。
今までその方が業者さん経由で捜索依頼を受けたセル画は名作セル画ばかり。
探し出すのに時間がかかって現行品のようにオーダーすればすぐに入荷するものではなし、値段も現行品と比べても割高になってしまう。
しかし、せっかく自分で稼いだお金を出して飾るものだったら『ここなんだよね〜!』というものを1点飾ってもらいたいというのが私の本音で、
この方のような組合わせで依頼を受けると、難しい依頼でも嬉しくなってくる。
セル画の歴史をたどってみると、
それまではただの副産物であったセル画が1970年ごろにその価値が見出され、
1983年のクリスティーズで行われたセル画のオークションの大成功をきっかけに、セル画の価値というものが社会で認められたようである。
その後、1970年代にディズニーが背景のない限定275枚のリミテッドエディションセル4枚組セットの
“ミッキー”、“ドナルド”、“ピノキオ”、“レディ&トランプ”のシリーズが発売されました。
そして1980年代後半から背景つきの限定275枚のハンドインクラインハンドペイントのリミテッドエディションセルと
限定500枚の背景つき限定500枚のゼログラフィックラインハンドペイントのリミテッドエディションセルが発売されるようになった。
日本の多くのディズニーファンにセル画というものが知られるようになったのはアートワークスさんが
1992年11月20日発売のディズニーファンに広告をを初掲載したことがはじめではないかと思う。
それまでにディズニーのフィルムフェスタなどで販売されたこともあるが、
当時隔月発売であったディズニーファンに毎号広告を掲載しつづけたアートワークスさんの業績はたたえるべきでしょう。
1994年夏、ライオンキングのプロモーションと併せて行われたセル画展と時期を合わせてブーム到来となったのではないだろうか。
それまでは(たぶん)あまり力をいれてなかったディズニーもこの頃からセル画に力を入れるようになり、
“Art of Disney”が各地のディズニーストアで行われるようになって一気にセル画のブームに火がついた。
そして1995年秋(?)、エドム(当時はアートヨシムラ)さんが正規ディーラーになり、
1997年ごろまでは三つ巴イケイケのセル画の黄金期を迎えるのであった・・・
コレクタブル分野では1992年に始まったウォルト・ディズニー・クラシックス・コレクション(WDCC)が、
日本では995年にディズニーストアで販売開始となり、セル画の後を追撃を始めた形になっている。
ここ最近ではWDCCがセル画にコレクタブル部門トップの座を奪われてしまったようにも見える。
それは日本の景気が悪くなって、高額なものには手が出しにくくなったことも考えられますが、それ以外にディズニーの戦略的なものが原因していると私は思う。
最近セル画展に行った方や、WDW、DL、ディズニーギャラリーに行ったことのある方ならすぐにピンとくるでしょう。
以前は背景の有無がリミテッドエディションセルとセリセルの差のように見えていたものが、
今ではセリセルにも背景がついているので、値段と限定数以外の差をパッと見て区別するのは詳しくない人にとっては難しいかも知れない。
本来、リミテッドエディションとして販売されるセル画は“あの名作のワンシーン”のセル画を復元したものなのだったのに、
このところ“あの名作のスリーシーンをまとめてどうそ”的なセル画や“人気キャラクター+人気キャラクター”などなど、
デザインしたキャラクター商品になってしまっているように見える。
いろいろな考え方があると思いますが、私なりの経験からいうと、
ミッキーシリーズなどの短編のセル画よりも、白雪姫・シンデレラ・美女と野獣といった
長編アニメーション映画のセル画を手にされる方の方が多いような気がする。
それはセル画の良さというのがまさに“あの感動の一場面をもう一度・・・・”ということであって、
ディズニーが認めたリミテッドエディションセルを飾って感動に浸れるということだと思う。
だったら、原画を飾ったらいいんじゃない?と言いたいところだが、
そんな名場面の原画はすでに手に入らないし、入ったとしても手に入らない高額なものになるのは間違いない。
また、だったらセリセルでいいじゃない?という人もいるだろう。
例えは変だがそんな人にはこんな質問をしてみたらいい。
『あなた車持ってる?何乗ってるの?買えるとしたら何が欲しい?』
『今はカローラに乗ってるけど、そりゃ〜ベンツかポルシェが欲しいよね〜!』
なんて答えが返ってくるのは間違いないでしょう。
カローラ=セリセル
ベンツ=ゼログラフィックライン・ハンドペイント・リミテッドエディション・セル
ポルシェ=ハンドインクライン・ハンドペイント・リミテッドエディション・セル
こんな比較をすれば一目瞭然。
私は今、ホンダのステップワゴンに乗っているが、“本日限り、新車100万円均一セール”なんてのがあったらポルシェを買っているだろう。
もっと欲を言えば、フェラーリ、ジャガー、運転手付きのロールス・ロイスなんてのもある。(運転手付きの運転手だったら可能性はあるかも)
人それぞれ価値観が違うから、どれをとってもいい。
でも、同じカテゴリーのもので比べるとしたら、1番いいものを欲しくなるのが本音ではないだろうか。
セル画が本来“あの名作のワンシーン”であるので、その映画のいい場面がなくなってしまうと基本的にはもう終わってしまう。
そして1997年ごろまでにその“いいワンシーン”がリミテッドエディションセルとして出尽くしてしまったようだ。
だから1994年〜1997年ごろは飛ぶように売れたという意味ではなくて、いい場面がたくさんあったという意味での黄金期だと思う。
今でもSOLD OUTになったセル画を時間をかければ入手することは可能だ。
人それぞれ好きな映画が違い、好きな場面が違い、好きなキャラクターが違う。
『キャラクターが好きだから、このセル画が欲しい』でもOK!
せっかく清水の舞台から飛び降りて手に入れるセル画なのだから、『これが欲しい』というものを是非手に入れて欲しいと思う。
あなたにとっての黄金期はこれからかも知れない。
(セル画屋のキャッチコピーみたいな締めくくりになってしまった)